
特にビジネスシーンでは、敬語の使い方ひとつで相手との関係が変わってしまったりすることもありますよね。
よく使われる「おっしゃってください」と「お申し付けください」の使われ方はよく似ています。
しかし、ちょっとしたニュアンスや使う場面などが違うので、今回は「おっしゃってください」と「お申し付けください」の違いをまとめました。
「おっしゃってください」の意味は「言ってください」
「おっしゃってください」の意味
「おっしゃってください」の意味は、「言ってください」です。
「おっしゃる」の意味は、「言う」の尊敬語です。
「おっしゃる」は漢字で「仰る」と書きます。
「仰る」という動詞に「ください」という尊敬の意味が付いたのが「仰ってください」です。
「仰ってください」は二重敬語ではないので、正しい日本語として使う事ができます。
「おっしゃってください」の使い方・例文
以下は、「仰ってください」を含む例文です。日常会話で使う時の参考にしてください。
- お客様に対する丁寧な対応:
「お名前を仰ってください。」 - 質問や疑問を受けての対応:
「何かご質問がありますか?おっしゃってください。」 - 上司からの指示:
「今日のタスクは何ですか?上司が仰ってくださいましたか?」 - ミーティングでの意見交換:
「次のアイデアを聞かせてください。皆さんのご意見を仰ってください。」 - レストランでの注文:
「メニューをご覧になりましたか?ご注文をおっしゃってください。」
これらの例文では、「仰ってください」が対話やコミュニケーションの中で、何かを言うことや指示を出すことを促す際に使用されています。
「おっしゃってください」の類語
「言ってください」
「言ってください」は、他人に対して口頭または書面で情報、意見、要望などを伝える際に使用されるフレーズです。一般的な日常会話やビジネスコミュニケーションで頻繁に使われ、コミュニケーションの基本的な要素の一つです。尊敬語ではないので目上の人や取引先の人に使うのは「仰ってください」がふさわしいですね。
「お伝えください」
「お伝えください」は、他人に対して情報やメッセージを伝える際に使われる丁寧な表現です。相手に伝える内容を依頼し、尊重の意を示します。ビジネスや日常のコミュニケーションで使われ、相手に要望や命令を伝える場合に、礼儀正しい方法として利用されます。
「言われる」
「言われる」は、「言う」の尊敬語としての表現で目上の人や取引先の人にも使える表現です。しかし、少しカジュアルな表現なので、ビジネスシーンでは「仰る」を使うようにしたほうが良いでしょう。
「話される」
「話される」は、「話す」の尊敬語としての表現で使われていますが、こちらも少しカジュアルな表現なので、正式な場では「仰る」を使う様にした方が良いでしょう。
「おっしゃってください」と間違いやすい表現
「申し上げてください」
「おっしゃってください」と「申し上げてください」は「言ってください」という意味では同じですが、注意が必要な事もあります。
「おっしゃってください」が尊敬語なのに対し、「申し上げてください」は謙譲語なので、使うシチュエーションによっては、気を配りましょう。
目上の人や取引先の人に対しては、「おっしゃってください」を徹底させることが重要です。
「おっしゃってください」の英語表現
「おっしゃってください」の英語表現として、以下の例文をご紹介します:
- Please go ahead and speak. (どうぞおっしゃってください。)
- Feel free to share your thoughts. (ご意見をおっしゃってください。)
- Please feel comfortable expressing your views. (お気軽にお考えをおっしゃってください。)
- Don’t hesitate to tell us what you think. (どうぞご意見をおっしゃってください。)
- We value your input, so please share your thoughts with us. (皆さまのご意見を大切にしておりますので、どうぞおっしゃってください。)
「お申し付けください」の意味は「言いつけてください」
「お申し付けください」の意味
「お申し付けください」の意味は「言いつけてください」です。
「お申し付けください」は、「申し付ける」という謙譲語に「お~ください」という尊敬の意味を含んだ丁寧な表現として使われています。
「命令する・言って頼む」などの意味を持つ「言い付ける」の謙譲語が「申し付ける」です。
「お申し付けください」は、相手にたいして何かを伝えたり要請したりする際に、尊重と礼儀正しさを示すために使います。
ビジネスや社交の場では一般的に使用されています。
「お申し付けください」の使い方・例文
以下は、「お申し付けください」を含む例文です:
- 接客スタッフからお客様に:
ご不明な点などがございましたらなんなりとお申し付けください。 - 案内を受けた時に:
足りないものがありましたらお申し付けください。
これらの例文では、「お申し付けください」が要望、質問、指示などを尊敬と礼儀正しさを備えて伝える手段として使用されています。
「お申し付けください」の類語
「ご用命ください」
「ご用命ください」は、日本語の丁寧な表現で、相手に何かを頼む、要求する、または指示を出す際に使う表現です。この表現も「お申し付けください」と同様、尊重と礼儀正しさを示すために使われています。要するに、相手に対して丁寧で尊重の念を込めたコミュニケーションなのです。
「お知らせください」
「お知らせください」は、相手に何か情報や知識を提供する際に使う丁寧な表現です。相手に尊重の意を示しつつ、重要な情報を伝える目的に使用されます。例えば、会議の変更、イベントの詳細、または重要なお知らせを伝える際に利用され、礼儀正しいコミュニケーションを重視する場面で用いられます。
「おっしゃってください」
「おっしゃってください」は、相手の発言や指示に従う意思を示し、尊敬と協力を表す表現です。相手の話や指示に敬意を払い、従順な態度を示す際に使用されます。
「お申し出ください」
「お申し出ください」は、相手に何かを自発的に提案したり、申し出たりするように依頼する丁寧な表現です。この表現を用いることで、相手に行動を促し、自発的な協力を期待する際に礼儀正しいコミュニケーションができます。
「お申し付けください」の英語表現
「お申し付けください」の英語表現として、以下の例文をご紹介します:
- Please let us know your preference. (ご希望をお申し付けください。)
- Kindly inform us of your requirements. (お必要なことをお申し付けください。)
- Please feel free to communicate your needs. (ご要望を自由にお申し付けください。)
- If you have any requests, please inform us. (何かご要望があれば、お申し付けください。)
- We welcome your instructions or suggestions. (お申し付けやご提案を歓迎いたします。)
「おっしゃってください」と「お申し付けください」の違い
「おっしゃってください」と「お申し付けください」は、日本語の丁寧な表現で、両者とも相手に対して尊敬の念を示し、礼儀正しさを表現するために使われます。しかし、微妙なニュアンスの違いがあります。
- 「おっしゃってください」のニュアンス:
- 「おっしゃってください」は、相手が何かを言うこと、意見を述べること、指示を出すことなどを促す際に使います。
- この表現は、相手の発言や行動を尊重し、その意志や声を重要視するニュアンスが含まれます。
- よりリラックスした状況や、より口語的なコミュニケーションに適していることがあります。
- 「お申し付けください」のニュアンス:
- 「お申し付けください」は、何かを要請したり、依頼したりする際に使います。
- この表現は、相手に対して自分の要望や命令を謙譲に伝えるニュアンスが含まれ、相手に対する尊敬と協力の姿勢を強調します。
- よりフォーマルな状況や、上司や目上の方への要請に適していることがあります。
要するに、両者は尊敬と礼儀正しさを示す表現であり、文脈によって適切な表現を選ぶ必要があります。口語的なコミュニケーションでは「おっしゃってください」がより一般的で、フォーマルな状況では「お申し付けください」がよく使われます。
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